無謀にも本当に予約してきました。
ただ予約がつくのかどうかは結局わからずじまい。
……まあいいか。説明書読んで満足していよう。
6月中に銀魂BEST買えるかどうかはぎりぎりっちゅーとこですな。
PV見ててふと思いついたので小話一つ。
うん、パーティーIN確実であろう、二人の話。
ただ予約がつくのかどうかは結局わからずじまい。
……まあいいか。説明書読んで満足していよう。
6月中に銀魂BEST買えるかどうかはぎりぎりっちゅーとこですな。
PV見ててふと思いついたので小話一つ。
うん、パーティーIN確実であろう、二人の話。
-------------------------------
戦闘中、引き金に指をかけたその瞬間魔物がすぐ横で牙をむいたのに気を取られて、銃身の先が数ミリ逸れた。
魔物に当たったのなら、まだよかったのだけれど。
仲間のうちで一番口が重い男の肩すれすれに、掠った。
運が良かったのか悪かったのか、直後の男のその腕の一撃で、魔物は倒れ光となって消えた。
ほんの一瞬の出来事に、しかもかなりの強敵との戦いで傷だらけ、疲労困憊の仲間たちは、誰一人として気づいていない。
傷つけたことと、気づかれていないことと、―――長い夜の始まりの橙を浴びた、指先がぴくりと震えて。
安心することなんて、できやしなかった。
月影の宿の中、テーブルを囲んだ晩飯の最中、やけにみんなが心配していたのはどうしてだろう。
「怪我がひどいの?」「具合でも悪いのかしら」「そんなに不味かったか?」「悪いものでも食ったんじゃないのか」
……以下省略。
夜が更けていつものようにベッドに身体を投げ出して、目を閉じて、……やっぱり、眠れない。
そのままじっと呼吸を続けていれば眠れるだろうということは知っていたけれど、そうする気にもなれず。もやもや感とどうにも言えないすうすうとした心地に閉じた目を開く。
……いつものように、男が一人扉を開いて外へ出て行った。
男がこうして夜になかなか眠ろうとしないのを、仲間の全員が――いや、おそらく数人を除いて――知っている。男自身も、うすうす気づいてはいるだろう。誰も聞こうとはしなかったし、男も自ら語ろうとはしないものの。
仲間同士を線で繋いだとして、男は誰からともほんの少し離れているのかもしれない。ぼんやりと今、思った。
しばらく経って、衝動なのか好奇心なのか、分からないけれど俺はベッドを抜け出す。横目でちらりと見た仲間たちは治癒されたものの疲れているようだから、気づかれることはないだろうと高をくくる。ただ、そうあってほしかった。
顔を上げれば宿がすぐ其処に見える場所で、火がぱちぱちと燃えている。光召術の応用だろうかと、靄がかった頭で考える。土を踏む足音も隠さずに近づけば、男は警戒も持たず爆ぜる赤から視線をこちらへ移した。
「どうかしたか?」
「……。眠れないだけ、っスよ」
あえて尋ね返さない理由に、聡い男はとうの昔に気づいているだろう。そんな気がした。男を右前において同じように地べたに座り込む。
「調子が悪いのではなかったのか」
「あんたまでんなこと言うんすか。大丈夫っすよ」
笑いながら尋ねる男に、こんなに小さな冗談も口にできたのかと、ある意味感心さえ覚えた。
たき火が音を立てて少しずつ燃えていく様子に、あの時の一瞬の火花を思い出し片腕を握る。この場所より、もう少し高かった。
憶えている。
「……、気にやむことはない。あの程度の不可抗力など、戦場ではよくあることだ」
「俺、結局慰められる役っすか」
苦笑交じりに大げさに声を上げるも、互いに何も笑わなかった。
いつものお調子者の自分なら、戦闘中でもすぐに全速力で、前衛も後衛もそっちのけで駆け寄っていったと思う。そしてすぐに騒ぎ立てて、諭すために怒鳴られながら自分が覚えている限りの最大の治癒光召術をかけるだろう。けれどあの時の自分は、それをしなかった。出来なかった。それどころかその後も調子すら戻らなかった。
「……わかってるんすよ」
曲げた膝先を両腕で抱え、顎を乗せる。口はいつも以上にゆっくりと動いたが、同じくらいにすらすらと声を出した。
「俺が役立たずでお調子者で口も軽い木偶の坊だってことぐらい」
男は思いもしなかった吐露に、細く鋭い目を少々見開いているようだった。そんな風に考えていたのかと、自分自身でも驚いていたのに。
「……何か勘違いしていないか」
「何、が」
「別にお前を責めるつもりもないが、黙認するつもりもない」
罪は、裁かれるべきもの。
男もそれを知っていて、俺はそれを傍観して、目を逸らし続けた。
――この服を着ている限り、人を殺す業からは逃れられない。敵国のものから見れば、自国の人間を殺した剣の血は、この服に染みついているものと思えるのだろう。
おもむろに目線をを男へ真っ直ぐに向け(真っ直ぐでなければもう二度と、そんな気がした)、ほどいた手を肩へそっと翳す。あの一発はやはり青い外套の肩口を裂き、明らかにそこに傷口があると教えている。
「……癒しの、水よ」
詠唱は厳かに、光を持って既に無い傷口を癒す。確か、すでに治療は済んでいた。
男も俺も、黙ってじっと光の先を見つめている。何時かの何処かに忘れた何かを追憶するように、互いが瞳に光を漂わせていた。
「自分に何ができるか、って言われれば」
光はすでに消え、俺も再び先ほどの位置へ胡坐を掻いた。互いに互いを見ようとはせず、
「正直言って、何もできないとは思うんすよ」
「……それは」
「違うとか、違わないとか。そういうことじゃないんス」
きっとそうだ。思うだけなら簡単で、口にすることだって簡単で。難しいのは、それを目に見える形で現実にすること。
「俺は何もできなかった。できない。現にあんたを、仲間を傷つけた。……何もできないことなんて、俺自身よくわかってる。わかってりゃそれでいいって、俺の中の誰かはそう言ってる。……それでいいなんて思いたくない。確かにそれは大事なことだって、知ってる。でもそれで満足してちゃ、みんなと一緒に行くことなんてできやしない」
男は、知っていた。少年が人一倍孤独に縁がなく、反するように孤独にとらわれ、孤独を恐れていることを。
「あんたは俺を責めなかった。それどころか、何も言おうとしなかった。慰めでも、叱責でもないっス。……気づいた、っスよ。その時俺ができることは、俺がやらなくちゃいけないんだって。そうすればきっと、誰も傷つかせない。俺は誰も、死なせたくない」
この手で。この力で。知らない誰かの血に濡れたこの服を身にまとったままで。何がどうとかじゃなく、ただ何かができるのなら。
「だから、俺は、その時俺ができることを、俺にしかできないことをする。……それでチャラにするってのは……ダメっスか?」
自分で考えても、ずいぶん都合のいい話だった。でも俺はそれくらいでしか、何かを返すことなんてできない。これは、ある種の保険。共に往くための布石。この手にある光を見失わないように。
火の中の枝が一つ二つ折れて、男は何も言わなかった。それが彼にとっての肯定なのだと、俺は知っている。
男は意志を促すことしか、口にはしなかったから。
「―――俺、そろそろ寝るっスよ。お先っス」
欠伸を零して立ち上がり、男と焚き火に背を向ける。ようやく夜が明ける気配がした。
「―――眼を背けるな」
どうにか耳に届いた言葉に足を止める、首だけを振り返らせれば、男の目が火を浴びて輝く様が見えた。
「眼を背けないことだ。……真に己がすべき道を、見出だしたいと願うなら」
「……やけに実感こもってるっスね。それも戦場での教訓スか?」
「いや。……お前たちと共にある中で、俺が見出だした答えだ」
男は誰とも離れてなどいないのだと、その時ようやく気付いて、安堵する自分を受け入れる。
そして再び歩き出す。静かに焚き火が散る夜を、俺はきっと忘れない。
夜が明ける。暗闇が潔く、世界の権利を明け渡す。
呼吸を整えて銃を構える。
(……眼を、逸らすな)
男の言葉と高い背中が、今も俺の目の前に色濃く弾けて。
高く、高く、銃声が響く。
---------------------------
何ができるか、何をやらなければいけないのか。
無能かどうかは自分で決める。
どうもこの二人を組ませるのが気に入ったようです。疑似親子的な(疑似関係大好きです)
夜が明ける~以降の部分は話をしてからずいぶん後のことともとれるように書いたつもりでした。
裏切りも組み込めるように……(自重:私の好きなキャラは結構な確率で裏切り、またはそう取れる行為を行います)
とはいえこんなに真剣な子じゃないと思いたい(じゃあ書くな)。
戦闘中、引き金に指をかけたその瞬間魔物がすぐ横で牙をむいたのに気を取られて、銃身の先が数ミリ逸れた。
魔物に当たったのなら、まだよかったのだけれど。
仲間のうちで一番口が重い男の肩すれすれに、掠った。
運が良かったのか悪かったのか、直後の男のその腕の一撃で、魔物は倒れ光となって消えた。
ほんの一瞬の出来事に、しかもかなりの強敵との戦いで傷だらけ、疲労困憊の仲間たちは、誰一人として気づいていない。
傷つけたことと、気づかれていないことと、―――長い夜の始まりの橙を浴びた、指先がぴくりと震えて。
安心することなんて、できやしなかった。
月影の宿の中、テーブルを囲んだ晩飯の最中、やけにみんなが心配していたのはどうしてだろう。
「怪我がひどいの?」「具合でも悪いのかしら」「そんなに不味かったか?」「悪いものでも食ったんじゃないのか」
……以下省略。
夜が更けていつものようにベッドに身体を投げ出して、目を閉じて、……やっぱり、眠れない。
そのままじっと呼吸を続けていれば眠れるだろうということは知っていたけれど、そうする気にもなれず。もやもや感とどうにも言えないすうすうとした心地に閉じた目を開く。
……いつものように、男が一人扉を開いて外へ出て行った。
男がこうして夜になかなか眠ろうとしないのを、仲間の全員が――いや、おそらく数人を除いて――知っている。男自身も、うすうす気づいてはいるだろう。誰も聞こうとはしなかったし、男も自ら語ろうとはしないものの。
仲間同士を線で繋いだとして、男は誰からともほんの少し離れているのかもしれない。ぼんやりと今、思った。
しばらく経って、衝動なのか好奇心なのか、分からないけれど俺はベッドを抜け出す。横目でちらりと見た仲間たちは治癒されたものの疲れているようだから、気づかれることはないだろうと高をくくる。ただ、そうあってほしかった。
顔を上げれば宿がすぐ其処に見える場所で、火がぱちぱちと燃えている。光召術の応用だろうかと、靄がかった頭で考える。土を踏む足音も隠さずに近づけば、男は警戒も持たず爆ぜる赤から視線をこちらへ移した。
「どうかしたか?」
「……。眠れないだけ、っスよ」
あえて尋ね返さない理由に、聡い男はとうの昔に気づいているだろう。そんな気がした。男を右前において同じように地べたに座り込む。
「調子が悪いのではなかったのか」
「あんたまでんなこと言うんすか。大丈夫っすよ」
笑いながら尋ねる男に、こんなに小さな冗談も口にできたのかと、ある意味感心さえ覚えた。
たき火が音を立てて少しずつ燃えていく様子に、あの時の一瞬の火花を思い出し片腕を握る。この場所より、もう少し高かった。
憶えている。
「……、気にやむことはない。あの程度の不可抗力など、戦場ではよくあることだ」
「俺、結局慰められる役っすか」
苦笑交じりに大げさに声を上げるも、互いに何も笑わなかった。
いつものお調子者の自分なら、戦闘中でもすぐに全速力で、前衛も後衛もそっちのけで駆け寄っていったと思う。そしてすぐに騒ぎ立てて、諭すために怒鳴られながら自分が覚えている限りの最大の治癒光召術をかけるだろう。けれどあの時の自分は、それをしなかった。出来なかった。それどころかその後も調子すら戻らなかった。
「……わかってるんすよ」
曲げた膝先を両腕で抱え、顎を乗せる。口はいつも以上にゆっくりと動いたが、同じくらいにすらすらと声を出した。
「俺が役立たずでお調子者で口も軽い木偶の坊だってことぐらい」
男は思いもしなかった吐露に、細く鋭い目を少々見開いているようだった。そんな風に考えていたのかと、自分自身でも驚いていたのに。
「……何か勘違いしていないか」
「何、が」
「別にお前を責めるつもりもないが、黙認するつもりもない」
罪は、裁かれるべきもの。
男もそれを知っていて、俺はそれを傍観して、目を逸らし続けた。
――この服を着ている限り、人を殺す業からは逃れられない。敵国のものから見れば、自国の人間を殺した剣の血は、この服に染みついているものと思えるのだろう。
おもむろに目線をを男へ真っ直ぐに向け(真っ直ぐでなければもう二度と、そんな気がした)、ほどいた手を肩へそっと翳す。あの一発はやはり青い外套の肩口を裂き、明らかにそこに傷口があると教えている。
「……癒しの、水よ」
詠唱は厳かに、光を持って既に無い傷口を癒す。確か、すでに治療は済んでいた。
男も俺も、黙ってじっと光の先を見つめている。何時かの何処かに忘れた何かを追憶するように、互いが瞳に光を漂わせていた。
「自分に何ができるか、って言われれば」
光はすでに消え、俺も再び先ほどの位置へ胡坐を掻いた。互いに互いを見ようとはせず、
「正直言って、何もできないとは思うんすよ」
「……それは」
「違うとか、違わないとか。そういうことじゃないんス」
きっとそうだ。思うだけなら簡単で、口にすることだって簡単で。難しいのは、それを目に見える形で現実にすること。
「俺は何もできなかった。できない。現にあんたを、仲間を傷つけた。……何もできないことなんて、俺自身よくわかってる。わかってりゃそれでいいって、俺の中の誰かはそう言ってる。……それでいいなんて思いたくない。確かにそれは大事なことだって、知ってる。でもそれで満足してちゃ、みんなと一緒に行くことなんてできやしない」
男は、知っていた。少年が人一倍孤独に縁がなく、反するように孤独にとらわれ、孤独を恐れていることを。
「あんたは俺を責めなかった。それどころか、何も言おうとしなかった。慰めでも、叱責でもないっス。……気づいた、っスよ。その時俺ができることは、俺がやらなくちゃいけないんだって。そうすればきっと、誰も傷つかせない。俺は誰も、死なせたくない」
この手で。この力で。知らない誰かの血に濡れたこの服を身にまとったままで。何がどうとかじゃなく、ただ何かができるのなら。
「だから、俺は、その時俺ができることを、俺にしかできないことをする。……それでチャラにするってのは……ダメっスか?」
自分で考えても、ずいぶん都合のいい話だった。でも俺はそれくらいでしか、何かを返すことなんてできない。これは、ある種の保険。共に往くための布石。この手にある光を見失わないように。
火の中の枝が一つ二つ折れて、男は何も言わなかった。それが彼にとっての肯定なのだと、俺は知っている。
男は意志を促すことしか、口にはしなかったから。
「―――俺、そろそろ寝るっスよ。お先っス」
欠伸を零して立ち上がり、男と焚き火に背を向ける。ようやく夜が明ける気配がした。
「―――眼を背けるな」
どうにか耳に届いた言葉に足を止める、首だけを振り返らせれば、男の目が火を浴びて輝く様が見えた。
「眼を背けないことだ。……真に己がすべき道を、見出だしたいと願うなら」
「……やけに実感こもってるっスね。それも戦場での教訓スか?」
「いや。……お前たちと共にある中で、俺が見出だした答えだ」
男は誰とも離れてなどいないのだと、その時ようやく気付いて、安堵する自分を受け入れる。
そして再び歩き出す。静かに焚き火が散る夜を、俺はきっと忘れない。
夜が明ける。暗闇が潔く、世界の権利を明け渡す。
呼吸を整えて銃を構える。
(……眼を、逸らすな)
男の言葉と高い背中が、今も俺の目の前に色濃く弾けて。
高く、高く、銃声が響く。
---------------------------
何ができるか、何をやらなければいけないのか。
無能かどうかは自分で決める。
どうもこの二人を組ませるのが気に入ったようです。疑似親子的な(疑似関係大好きです)
夜が明ける~以降の部分は話をしてからずいぶん後のことともとれるように書いたつもりでした。
裏切りも組み込めるように……(自重:私の好きなキャラは結構な確率で裏切り、またはそう取れる行為を行います)
とはいえこんなに真剣な子じゃないと思いたい(じゃあ書くな)。
PR
この記事にコメントする